九州大学病院 矯正歯科

I. 倫理観とプロフェッショナリズム

患者とその関係者、医療チームのメンバーを尊重し、責任をもって医療を実践するための態度、倫理観を持って行動し、矯正歯科医・研究者としての自己を評価し、生涯に渡り向上することができる。

1. 高い倫理観を有し、歯科医学研究者、医療人として節度を保ち、自己管理を徹底する。

2. 他者の尊厳を尊重し、倫理性に基づいた医療を実践する。

3. 自己主導型学習により生涯に渡り最新の歯科医療技術および知識を探索し、常に自己の向上を図る。

4. 責任をもって患者の個人情報・医療情報を管理する。

II. コミュニケーションとチーム医療

他者を理解し、お互いの立場を尊重した人間関係を構築して、医療ならびに研究の場で適切なコミュニケーションを実践する。

1. 患者、患者家族、医療チームのメンバーなどの発言を傾聴し、個人、文化、社会的背景を踏まえて共感、理解、支持的態度を示すコミュニケーションを実践する。

2. 患者、患者家族、医療チームのメンバーとの信頼関係を築き、情報収集、情報伝達を適切に行い、同意形成を行いながら歯科医学研究ならびに矯正歯科医療を実践する。

3. 包括歯科医療チームにおける矯正歯科医としての役割を多種職連携医療として果たす。

III. 歯科矯正学および関連領域の知識

矯正歯科の基盤となっている、基礎・臨床・社会医学等の知識を有し、それらの知識を応用しながら課題を解決する。

1. 顎顔面口腔領域の形態および機能を統合的に理解し、詳細に説明する。

2. 顎顔面口腔領域の発生、成長発育、加齢を統合的に理解し、遺伝ならびに環境因子の影響を詳細に説明する。

3. 成長発育段階に応じた不正咬合の治療方法とそのタイミングについて系統的に説明する。

4. 顎顔面口腔領域の骨格性形態異常、不正咬合、機能異常を分類し、原因ならびにこれらに伴う障害を詳細に説明する。

5. 各種矯正装置の種類、装置の構造、材料の特性、治療効果および副作用について説明する。

6. 矯正治療に伴うリスクとその予防法について詳細、かつ統合的に説明する。

7. 不正咬合の疫学、予防について説明する。

8. 安全管理、治療の質の管理、患者満足、医療におけるリスクマネージメントについて説明する。

9. 保健・医療・福祉制度について説明する。

IV. 歯科矯正診療の実践

患者に対して思いやりと敬意を示し、患者個人を尊重した適切で効果的な診療を実施する。

1. 主要な病歴を、社会心理学的要因も含めたナラティブと共に正確に聴取する。

2. 矯正歯科治療に必要な診査および検査を選択し、適切に実施する。

3. 診査・検査の結果を解釈し、問題点を抽出したのち、診断の論理的ステップを応用して不正咬合を診断する。

4. 適切な治療法を選択し、患者の状況に合わせたオプションを含めた治療計画を立案する。

5. 治療計画に基づく治療を、適切な治療法・装置を選択することで効果的に実施する。

6. 治療結果を評価・検証し改善に結びつける。

7. 症例報告を適切に作成し、プレゼンテーションできる。

8. 顎変形症・口唇口蓋裂およびその他の疾患に起因する不正咬合を治療する。

9. 矯正治療を行う上で知っておくことが必要な局所・全身疾患などについて理解し、最適な治療計画を立案し、治療を行う。

10. Evidenceを活用し、EBMの考え方を踏まえた安全な矯正歯科治療を提供する。

11. 医療資源の効率的な分配と、安定的で良質な医療サービスを提供する。

V. 疾病予防と健康増進

診断情報を活用し、必要に応じてその改善に努め、地域歯科医療における健康増進に貢献する。

1. 健康、福祉に関する問題を評価でき、不正咬合患者の健康増進、疾病予防活動に参加する。

2. 医療情報の評価・検証とそれに基づく改善に努めることができる。

VI. 科学的探求

基礎および臨床領域での研究の意義を理解し、科学的情報を評価し、新しい情報を生み出すために理論的・批判的思考を実践する。

1. 医学的発見の基礎となる科学的理論と方法論を理解し、実践する。

2. 未知・未解決の臨床的あるいは科学的問題を解決するための研究を企画・遂行し、成果を国内・国際社会に向けて発信する。